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十字路にいた場違いな男性

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私は幼い頃から、幽霊のようなものが見えていました。しかし、常に見えている訳ではなく、ふとした瞬間に視界に入ってくるのです。所謂、波長が合うというやつなのでしょうか、はっきりと見えます。透けて見えるとかではなく、生きている人と変わりありません。ただ何となく違和感があるだけです。それ違和感とは着ている衣服や仕草、行動が少しだけおかしいのです。その場で気付くことは少なく、後から思い返してアレ?となります。そんな私の体験談です。
ある冬の夜、私は一人で車を運転していました。赤信号で停車した時に、交差点の隅に男性が座り込んで居るのが目に留まりました。そこは、峠道の入り口にある十字路で、徒歩でくるような場所ではありません。ましてや冬の夜道です。道路脇には除雪された雪が積まれています。一応、周りには数件の民家があるので、おかしな人がいるなと思いながらも、信号が変わったので車を発進させました。数秒後、あることに気が付きました。その男性は、真冬だというのにランニングシャツに短パンという格好で、背中のリュックには傘を差していたのです。
気持ち悪さを感じつつも、万が一のことを考えたら、後味が悪くなると思い車を引き返しました。十字路まで着いて、周りを確認しますが男性の姿はありません。それどころか、座っていた形跡や足跡もありません。戻ってくるまで1、2分で雪は降っていません。人がいたとしたら何かしらの形跡が残っているはずです。
改めて今あったことを考えると怖くなり、急いで家に帰りました。帰宅後、家族に話してみましたが、誰もあの十字路に幽霊が出るという話しを聞いたことがないと言っていました。それから何度も同じ十字路を通りますが、おかしなものを見たのはその一度っきりです。一体あの男性は誰だったのでしょうか。
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